【英語学】英語は思ったよりラテンなゲルマン系言語

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ラテン由来の英単語が半分以上を占める

みなさんはQuoraというサイトをご存じだろうか?

さしずめアメリカ版のYahoo知恵袋のようなサービスだ。質問も回答も全般的に質が高いのでトコシエはちょくちょく訪問している。自分の興味のあるトピックについて検索して、やりとりを見るだけで、トピックそのものだけでなく、生きた英語の勉強に役立つのではないかと思う。

そのQuoraにあるとき “Is English a Germanic language?” という質問があって興味深く読んだ。コンサイスにまとまった明答だと思ったものを引用する。

It depends on what you mean by language. Vocabulary-wise, around 60% is derived from Latin. This happened more as a result of the Norman Invasion than Roman occupation, as a lot of that vocabulary
was derived through French.
Despite this, English is still a Germanic language, and that’s because its grammar structure is pretty much the same as it was 1,000+ years ago.
To put it briefly, English is a grammatically Germanic language with a lot of words that derive from Latin.

イギリス史に詳しくない人は意外に思うかもしれないが、この人の言っている通りなのだ。からだや魂は日本人(ゲルマン系言語)だけど、ふだんは洋装(ラテン由来のボキャ)を着ることが多いというのと似ている。

ノルマンコンクエスト(Norman Conquest)の影響

11世紀中頃、フランスのノルマンディから、ゲルマン系のノルマン人がイギリスへ侵略し征服した。征服王はウィリアムI世と改名してノルマン王朝を開く。このとき公用語にラテン語由来のフランス語(正確にはオイル語、ロマンス言語のひとつ)が採用された。イギリスが本格的にフランスと関係をもつきっかけである。

被征服民となったイングランド人はもともと北方ゲルマン系の民族(北独出身のアングル人、デンマーク由来のジュート人、独ザクセン地方由来のサクソン人、そして、これらより遅れて入ったデーン人の混成)だから、ノルマン人は血統的に親戚のようなものだ。そのため比較的順調に征服が進んだと思われる。

この後15世紀頃からルネッサンスや活版印刷の影響で情報革命が起こり、シェイクスピアらの活躍によって現代英語の直接の祖となる初期近代英語へ変貌するまでの数百年間、イギリスは基本的に王や貴族がフランス語を使い、平民が英語を使うという棲み分けをすることになる。シェイクスピアの現れる時代でも、英語は粗野で文学や哲学など高尚な文化にて適さないと卑下されていたくらいなのだ。

現代でも英語語彙の6割以上はラテン語由来だという。なるほどこの歴史を知れば、音楽や芸術、学術の世界の言葉は圧倒的にラテン語系が多いのがうなずける。貴族の言葉だったからだ。

象徴的な名残は動物と肉の区別に現れている。pigとpork、bullとbeef、sheepとmuttonなど平民が世話する動物はゲルマン語系、それを肉として食べる側はラテン語系の単語なのだ。

トコシエがアメリカにいた頃、アメリカ人はsituation、sophisticationなどのラテン系の言葉は格式張って響くと言っていた。アメリカ人でさえそうなのだ。イギリス人はもっと細かくニュアンスの違いを感じるのではないか。日本語における漢語とやまとことばの違いと同じか。こころと言えばやわらかいが、精神というとよそよそしい(客観的な)響きになる。

ピジンとクレオール

Quoraの回答には次のようなものもあった。

In limguistic terms modern English is a pidgin language, a merger between a West Germanic substratum and a French/Latin superstratum. 60% of the dictionaty entries are essentially French/Latin/Greek.

“pigin”というのは母国語を異にする異民族(異部族)同士が意思の疎通を図るために生み出した混成言語で、ネイティブスピーカーを持たないものを言う。本当に便宜的なマイナー言語だ。しかしピジンが継続発展して独自の言語となり、ネイティブスピ^カーを持つようになった場合、ピジンはクレオール(creole)と呼ばれることになる。

そういう意味では、上の回答は不正確で、「英語はクレオールである」とすべきところだ。でもそういう意味なら、日本語だって中国語との交渉から生まれたクレオールだろうし、クレオールでないメジャー言語を探す方が難しいのではないか。

この回答者は続けて、ネイティブはゲルマン語系とラテン語系を “自然と” 使い分けができるという。

The Germanic version is perceived by a native speaker as “emotional” whereas the latin version is perceived as aloft and academic.

“emotional”と”aloft”、なるほど、ゲルマン系=主観的(魂)、ラテン語系=上から目線(理性)という感じか。

ゲルマン語由来かラテン語由来かを意識しよう

両者の区分けを知っていると勉強に役立つと思う。

例えば、英語において一音節のget、hit、have、standなどの単語はほとんどゲルマン語由来だ。ネイティブは “basic words” と呼ぶ。

do/did、go/went、get/got、spend/spent、forget/forgotのような不規則動詞はぜんぶゲルマン語由来の動詞だというから驚きだ。

ゲルマン由来の英単語は、日本語のやまとことばに相当する。

これに対してconfront、differentiate、perceiveなど二音節以上の単語はラテン語由来が多く、”nonbasic words” と呼ぶ。日本語の漢語に相当する。

ひとつひとつの単語の中に、歴史時間を超えた人間の思いを見るようだ。

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