【英語攻略】英語構文はネクサス(コア+修飾部)だけでわかる!あとは自動詞・他動詞の区別だけ

2021-02-21♪音楽, 英語の話

当サイトの人気記事。英語はネクサスというシンプルな骨組みさえ把握できれば意味をつかめる!

この記事は早期英語教育に代表される最近の風潮に対するささやかな異議申し立ての試みでもある。従来の読み書き偏重、文法偏重を反省するのはOK。だが、その反省に、文法の教え方の見直しは含まれないのか?基本5文型などとやるから腰が引けてしまうのだ。ネクサスとして文の構造をつかんでしまう方が理解が早いと思う。

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ネクサス―英文のシンプルな基本構造

外国語習得に文法は欠かせない。文法がなければ英語の本が読めない。ビジネスメールも学位論文も書けない。だが、学校で例の基本5文型という代物を教えられると、それが躓きの石となる人が後を絶たない。

英語は日本語と赤の他人なので文章の構造そのものが違う。ドイツ人や北欧人が母語の文型そのままに英単語を当てはめればある程度通じてしまうのとわけが違う。だから、SV、SVC、SVO、SVOO、SVOCの5つのパターン(5文型)に分類して英文の構造をつかもうというアプローチ自体は有益だと思う。

しかし、もっとシンプルな構造を見た方が英語は「わかる」。今回は「わかる」ための道具としてネクサス(nexus)なる考え方を紹介したい。

ネクサスとは何か?

ネクサスとは文章を構成する「主語と述語のかたまり」のことである。文章はひとつ、または複数の「主語と述語のかたまり」で構成されている。

例を挙げて説明した方がわかりやすいので、ルーサー・ヴァンドロスの “Dance With My Father” という曲の歌詞に即して説明しよう。

Back when I was a child,
before life removed all the innocence,
my father would lift me high and dance with my mother and me
and then spin me around ‘til I fell asleep.
Then up the stairs he would carry me
and I knew for sure I was loved.

“Dance With My Father” Luther Vandross

文の基本構成はコアと修飾要素

出だし部分の構文を基本だけ抜き出すと、

When I was a child, my father would lift me up and dance with my mother and me.

となる。これを(S V)のかたまり(ネクサス)に還元すれば、以下のようになる。

Modifier (S V C), Core (S V1 O) and (S V2 C).

の構成で、文章全体は3つのネクサス(S V C), (S V1 O), (S V2 C) で成り立っていることがわかる。

  • Coreとしたのは文章の中心部分。この文章の場合、「私を高い高いしてくれた」(ネクサス1)と「母と私とダンスした」(ネクサス2)の2つが意味の中心である。
    • wouldは修飾要素(シンプルな理解を促したいので助動詞というジャーゴンは使用しない)。過去によくそうしたという反復を表わしている。
  • Modifierとしたのは文章のCoreを修飾する要素。Modifier自体が「主語+述語」のネクサスになっている。「私の幼い頃」というModifierがCore全体を修飾している。

このように、ひとつの文章はネクサスのつらなり(もしくは入れ子)で成り立つ。ひとつの文章の中に、(S V) の構造をもつネクサスが複数含まれるわけだ。上の例文の場合でいえば、When I was a childという修飾要素のネクサスが、コアのネクサス全体を包み込んでいる。

つまり、コアは修飾要素のなかに入れ子になっているわけだ。「意味の固まりが入れ子になっている」、これを忘れないことだ。

  • ネクサスはコアばかりでなく修飾要素もつくれる。修飾要素の役割は、名詞(主語、目的語)を修飾するか(形容詞の働き)、動詞を修飾するか(副詞の働き)である。この点についてはあとでもう一度説明する。

コアのみで成り立っている文章

続く部分も同様にネクサスで見てみよう。

Then up the stairs he would carry me and I knew for sure I was loved.

倒置を排してわかりやすく書き直すと、

He (My father) would carry me up the stairs, and I knew for sure that I was loved.

だ。ネクサスに分解すると以下のようになる。

Core1 (S V C) and Core2 (S V O).

この文章はCoreが2つ並列され、Core全体を修飾するModifierは存在しない。そうなる最大の理由は、各コアの主体(主語)が異なるからだ。

これをぶっきらぼうな散文に書き換えると、

Because (As, Since) he would carry me up the stairs, I knew for sure that I was loved.

となる。このように書いた場合、Because以下のネクサスは修飾要素になる。なるが、詩的表現においては父親のアクションを際立たせるため、あえて並列にしたのだと思う(修飾要素にすると説明的すぎて詩情が失われる)。

つまり「愛されていることを確かにわかっていた」のが最大の意味の中心だが、そのエヴィデンスとしてCore1の記述が重要な役割を担っているわけだ。(リヴィングでうたたねしてしまうと必ず)「抱っこして階段を上って(寝室へ連れて行って)くれた」という記憶が、子どもに「愛されている」という実感(安心感)を与えてくれたからである。

wouldという習慣表現を繰り返すことで、この歌がすでに亡き父への追憶の唄であることがわかる。

文章はネクサスのつらなり

ネクサスの働きについて専門家は以下のように説明する。

Nexus denotes the strong bond between subjects, verbs, and complements — the three fundamental parts of sentences. The basic English sentence names something (thus giving it a “subject”) and then uses a verb to say something about what has been named.

ネクサスは、S(主語)、V(述語)、C(修飾要素)という3つの文章基本パーツを強く結びつける文章の構成単位である。基本的な英文は、名前をつけた(文の主語に設定した)何かに関して、何かを言うために動詞を添えることで完成する。

修飾要素は名詞を修飾するか動詞を修飾するかのどちらか

Cの修飾要素(上の説明で用いたmodifier)は、SやVを修飾して、いわばネクサスのニュアンスや「らしさ」を表わすのだが、先ほどもいったように働きは次のどちらかだ。

  • 名詞を説明する形容詞的な働き
  • 動詞を説明する副詞的な働き

修飾に使われるのは純粋な形容詞や副詞に限らない。上の例の “when I was a child”、”with my mother and me”、”that I was loved” のようにそれ自体が「主語+述語」のネクサスになっている句や節を形容詞的、または副詞的に使用するのである。

  • “when I was a child” は “lift me up and dance” という父親のアクションを修飾する副詞的要素である。
  • “with my mother and me” はdanceという動詞を修飾する副詞的要素である。
  • “that I was loved” はI knewの目的語であり名詞句だが、機能的にはIではなくknewの内容を説明しているので、副詞として働いていると捉えることができる。

せっかくなので、形容詞的な修飾の例も示しておこう。”Dance with My Father” の次の節だ。

If I could get another chance
Another walk
Another dance with him.
I’d play a song that would never ever end
How I’d love love love
To dance with my father again

I’d play a song that would never ever end.

文章は(S V O)の基本型だが、”that would never ever end” の関係代名詞句が、”I” ではなく、”a song” を修飾するC要素(modifier)になっている。5つの単語で目的語(名詞)を修飾し、形容詞の役割を果たしているわけだ。

基本文型は2つしかない

以上をまとめれば、

  • 文章はネクサス(主語+述語のかたまり)を基本単位として成り立っている。
  • ネクサスにはコアを形成するネクサスと、修飾要素を形成するネクサスがある。

ということになる。

このことを基本5文型の話に絡めて説明すれば、どんなに複雑に見える文章も、基本的にはSVか、SVOかの2通りしかない。あとは修飾要素である。

  • SVは主体のアクションが働きかける対象を必要としない場合。
  • SVOは働きかける対象を必要とする場合。
  • 残りの部分はすべて修飾要素として扱える。

SVとSVOの違いは、V(動詞)の性質、あるいはV(動詞)を使う状況によって決まる。

自動詞と他動詞

せっかくなので、もうひとつ歌詞を使って説明しよう。ボズ・スキャッグスの “Look What You’ve Done to Me” という曲だ。

Hope they never end this song
This could take us all night long
I looked at the moon and I felt blue
Then I looked again and I saw you
Eyes like fire in the night
Bridges burning with their light
Now I want to spend the whole night through
And honey, yes, I’d like to spend it all on you
Love, look what you’ve done to me
Never thought I’d fall again so easily
Oh, love, you wouldn’t lie to me
Leading me to feel this way

アクションがそれ自体で完結し、働きかける対象を必要としない場合(自動詞)、その文章はSVの単純構成となる。働きかける対象を必要とする場合(他動詞)、SVOの構成となる。

上の歌詞のlookという動詞に注目してみよう。

最初は自動詞の例である。

I looked at the moon and I felt blue.
Then I looked again and I saw you.

オトナの(たぶん許されざる)恋の唄なので、叙景描写でわざと “I” が重ねて使用されている。何となく重い雰囲気である。ネクサスに分解すると、

Core1 (S V) and Core2 (S V).
Core3 (S V) and Core4 (S V O).

ここでのlookは自動詞だ。心情の上では「私は見る」という行為で完結して働きかける対象は修飾的に使われるだけ(どこかへ気をそらそうとして視線を月に向ける)。自動詞のlookはそのまま目的語をとれないので、”at the moon” と目的語に相当する要素は修飾的に扱われる。しかし、この後の “see” は目的語を直接とれるので “you” が来て、SVOの文型となっている(視線をそらしてみたものの、それとなく “you” を見てしまう)。

歌詞の肝の部分に使われた他動詞のlook

リフレインに移ると、lookは他動詞として使われる。

Love, look what you’ve done to me.
Never thought I’d fall again so easily.

ネクサスに分解すると、

Core1 (S V O)
Core2 (S V O)

このlookは物理的に見るというよりは精神的に見る、すなわち「気がつけ」とか「確認しろ」という働きかけである。look what you’ve done (to someone/something) はイディオム。辞書には次のように説明されている。

used when you are annoyed with someone and want them to look at the result of their action

なお、you’ve done は、状況によって you did になる場合もある。アクションが一回限りで完結する場合は did が適切。以下の例を比べてほしい。
Look what you’ve done! The chair’s ruined now.(※継続的に椅子を乱暴に扱ったので壊れてしまった)
Hey, look what you did to my car.(※クルマを故障させた、もしくは傷つけた行為は一回限りの出来事だった)

歌詞の語り手の心情に戻ろう。「なんでまた誘いに乗って(あるいは誘いをかけて)きたんだ」「なんで断って(無視して)くれなかったんだ」と相手を非難がましくいうことで、次の一文を強調している。

(I) Never thought (that) I (could) fall again so easily.

“S think that something.” の単純な構文が、”fall again” のひとことでぐっと強い響きを伴っている。fall(倒れる、堕ちる)は他動詞になれない動詞のひとつ。あくまでも主語の行為として完結する。

  • ここでの “I fall again” は、意味的に “I fall for you again” の省略である。
  • “I fall in love with you again” はニュアンス的に不自然。「恋に落ちる」というのはある瞬間に起こり再帰性のない出来事だ。いわば歴史事象。againとつくからには、fall for の方がどうしようもなく(つまり継続的に)相手に引きこまれるニュアンスが出る。

自動詞と他動詞の区別は大事

基本的単語で自動詞と他動詞で使い分ける例をもうひとつ挙げておこう。

I walk every morning.

という文章で “walk” (散歩する)は目的語を必要としない。だからこの文章はSVである。”every morning” は2単語で1つの副詞としてSVを修飾している。

I walk with my wife every morning.

としても、構造的にはSVのまま。”with my wife” も3単語で1つの副詞としてSVを修飾しているからだ。

しかし、同じwalkでも、

It’s already dark outside, I’ll walk you home.

といえば、walkはyouに働きかけているのでSVOの文型になる。”home”は”walk”を修飾する副詞として使われている(意味的には “to your residence”)。送っていく先が家でなく地下鉄の駅であれば、

It’s already dark outside, I’ll walk you to the subway station.

となる。homeは単独で副詞になれるが、subway stationはなれないのでtoを補うわけだ。

まとめ

英文に接する場合、シンプルに構造をつかむと誤読(誤解)を防げる。そのための道具がネクサスという「主語+述語」のかたまりだ。

  • ネクサスはコアにも修飾要素にも現れる。
  • 基本文型云々にとらわれず、大雑把にSVかSVOかを判断して文章を読もう。何が何を修飾しているかを気にするのは、その後でいい。

今回の記事が好評であれば、続編としてSVOOとSVOCについての補足なども書いてみたい。


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とても役立った役立ったので続きが読みたいどちらとも言えないあまり役立たなかったぜんぜん役立たなかった


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