【英語で学ぼう仮想通貨04】仮想通貨の現状

2018-05-24お金の話, 仮想通貨

仮想通貨市場の規模

仮想通貨の世界ではいま雨後の筍のように新しい通貨が生まれている。以下のサイトを見てほしい。

参考“Cryptocurrency Market Capitalizations”

これは仮想通貨の時価評価額ランキングだ。仮想通貨はどのくらいのお金を集めているだろうか?

首位のビットコインで1200億ドル(約13.6兆円)だ。日経平均首位のトヨタが23兆円、二位NTTと三位ソフトバンクが11兆円だから、ちょうど二位、三位の大手通信会社と同じくらいの規模に過ぎない。世界経済からすればまだまだちっぽけな存在だ。

201.12.05アップデート:
ビットコインの時価評価額は1900億ドル台まで伸びた。値段は11,3000ドル台。

しかし仮想通貨市場全体はこの一年だけで10倍以上には膨らんでいるはずだ。お金の集まり方のスピードは半端ない。投機的な意味で大量のお金を動かしているのは、日本、中国、韓国、アメリカだ。使い手として大きな勢力である非先進国のインパクトは少ない。本格的に成長するのはまだ今後の話になると思う。

代表的な仮想通貨

ビットコインのネームバリューが他を圧している。実際、仮想通貨内部でお金のやり取りをする場合、ビットコインを受け付けない人はいないので、仮想通貨界における米ドルのような地位、”基軸通貨” として機能している。

社会常識として二位のイーサリウム(Ethereum)、三位のビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)、四位のリップル(Ripple)くらいまでは知っておいた方がいいかもしれない。

ビットコインの課題

このうちビットコインキャッシュは今年の8月にビットコインが “喧嘩別れ” して派生した通貨だ。”もの” はビットコインと同じだ。

スケーラビリティ

ビットコインは昔からスケーラビリティ(scalability、拡張性)の問題を抱えている。ブロックチェーンを構成するブロックのサイズが1MBに制限されていて、トランザクションが急増するとマイニングが追い付かなくなる。処理の方が需要に追いつかなくなるのだ。そうすると決済のスピードが遅くなって手数料も上がってしまう。ビットコインキャッシュはブロックサイズを2MBに拡大した上で別の通貨として独立した。

ビジネス応用への鈍感さ

ビットコインのもう一つの課題は関係者の “ビジネス感覚” の欠如だ。彼らは思想的に “潔癖” すぎて現実的な問題への対処が下手だ。
お金というものの性質上、それが社会インフラとして機能するには、いま以上の利便性と安定性を提供しなければならない。例えば、いくら中央管理者がいないと言っても、そのままではお金として使いにくい。ビットコイン・ネットワークの外部に仲介組織はどうしても必要だ。通常の金融業でいうクリアリングハウスのような存在だ。
それが現在は仮想通貨の取引所しかない。株のように取り引きされているだけで、ネットショッピングなどで気軽に使えないのだ。アマゾンやヤフーやアップルがビットコインを受け入れれば話は劇的に変わると思うが、その手の大きな話をできる人がビットコイン関係者にはいないのだ。”非中央集権” の弱みだ。
その点、イーサリウムやリップルの方が “現実的” だ。彼らは社会インフラになることを始めから意識している。将来的にはこれらの方が標準的な仮想通貨になっていく可能性が高い。このままだとビットコインはフロントランナーで終わってしまいかねないのだ。

CoinとTokenの違い

引用サイトの一覧を見ると、最上部に “Coins” と “Tokens” というプルダウンメニューがある。日本では十把一絡げに仮想通貨(あるいは暗号通貨)といっているが、アメリカでは区別することも多い。両者の違いを理解することが英語の勉強にも役立つと思うので、次回、詳しく説明しよう。

ただ、上記サイトでの区分は明瞭だ。”Coins” は自前のプラットフォーム(決済処理ネットワーク)を持っているもの、”Tokens” は他者のプラットフォーム上で稼働しているものを指している。

“Tokens” →”Top100″ とクリックしてみてほしい。”Platform” という項目が現れるはずだ。

一位のOmiseGo、二位のEOSのプラットフォームはイーサリウムとなっているのがわかるだろう。これらの “通貨” はイーサリウムに “間借り” して稼働しているのだ。通貨といってもコンピューター・ソフトウェアなのだから、いくらでも間借りは可能だ。

Top100のプラットフォームを見るとイーサリウムが他を圧倒している。イーサリウムは今後、仮想通貨の標準プラットフォームになっていく可能性が高いことがわかる。仮想通貨の将来を考えるとき示唆的だ。

仮想通貨の生まれ方

みなさんは株式市場でIPO(Initial Public Offering)ということばを聞いたことがあるだろうか?未上場の会社が株式市場への上場を目指して自社株式を売り出す一連の手続きのことだ。IPOを通じて民間から出資をつのり、上場時の株価の値決めをする。

仮想通貨でも基本はこれと同じだ。IPOに相当するICOを行って民間から出資者を集める。そのときトークンが生まれるのだ(いまは新たなプラットフォームを開発してコインを発行するよりも簡便な方法、すなわち既存のプラットフォーム上でトークンを発行する方式が一般化している)。

ICOって何?

せっかくなので、英語ソースでICO(Initial Coin Offering)の定義を見てみよう。

出典“What are cryptocurrency token sales?”

What is an ICO?
An ICO, or initial coin offering, is a new phenomenon that has emerged from crowdfunding, cryptocurrency, and blockchain technologies. Also known as a “crowdsale”, an ICO is when a company releases its own cryptocurrency with the purpose of funding.
Typically, companies will release a pre-defined number of crypto-tokens (whatever their “unit” of currency may be), then sell those tokens to an intended audience.
During an ICO, companies usually exchange their cryptocurrency for Bitcoins. However, some ICOs involve the exchange of fiat money as well.
The end result of an ICO is similar to the end result of an IPO: the company gets capital it can use to continue growing its technology, while the public gets access to shares in the company. Now, both parties have an incentive to see the cryptocurrency grow.

要点だけかい摘むと、ICOはクラウドセールス(crowdsales)とも呼ばれるようにクラウドファンディング(crowdfunding)から派生してきた資金調達手法。資金の使途は仮想通貨やブロックチェーン関連技術の開発。

ICO時には売り出すトークン数が明示され、ネット上で出資を申し込む。ICOの支払い手段としてはビットコインが最も多く使われるが通常の法定通貨で支払えるケースもある。こうして開発側に出資することで仮想通貨の成長に向けた開発体制が推進される。


英語的に注意なのは、”unit” の部分か。これは “単位” を含意した “通貨名” という意味で使われている。

ここは混乱しやすい部分だが、法定通貨の場合、currencyとcurrency unitは必ずしも一致しない。例えば、米ドルを考えれば、currencyとしてのU.S. dollarには、currency unitとして “dollor” と “cent” がある。ところが仮想通貨の場合、cryptocurrecy Ethereumのunitは “Ethereum” のみしかないので、unitがそのまま通貨名という関係になっている。

ビットコインの場合は、1ビットコインの1億分の一に当たる “satoshi” という単位があるが、ふつうの人には一般的でないだろう。

ビットコインはICO以前に生まれた特別な存在

ICOの話は、現状はそうなっているという意味で理解してほしい。考えてもらえばわかるが、最初の仮想通貨であったビットコインの場合、資金集めのために(ビジネス拡大のために)公開されたわけではない。完全にゼロから決済プラットフォームとして立ち上がったのだ。いわばブロックチェーン技術の実証実験として世に出たことになる。

そのなかでビットコインはマイニングのインセンティブ(謝礼)として構想された符牒のような存在だった。それが通貨的な価値を持ち始めたのは、ビットコインの決済ネットワークとしての優秀性が経験的に実証され、通貨にとって最も重要な “信用” (人々による信認)が形成されたからだ。

ところが、いまのICOは順序が逆になっている場合が多い。まず金集めという目的があって、トークンがその手段になっているわけだ。だから詐欺も横行することになるのだ。もちろんまともな事業者も多いから玉石混交のカオスなのである。今後は出資する側の、発行主体に対する見極めが重要になっていくだろう。

IPOとICOの違いは所有権にある

話のついでにIPOとICOの違いも見ておこう。ICO詐欺も流行っているようなので、この違いは重要だ。

You’re Not Buying a Share of Ownership During an ICO
During an IPO, a company sells shares that denote a share of ownership in that company.
This isn’t always the case with the cryptocurrency industry: during an ICO, you’re buying a unit of currency for that project – which isn’t technically a share of ownership. It’s similar to a share because it’s tied to the value of the company, but it’s not an actual share of the company’s ownership.
This is an important distinction.
However, some crypto-tokens are used to transfer voting powers. When you buy a crypto-token, you get a vote in the company. The larger your share is, the more voting power you have.

IPOに出資するということは株主として対象会社の所有権の一部を持つことを意味するが、ICOの場合は必ずしもそうではない。ICOで買ったトークンがその会社の所有権の一部を持つ場合もあるが、単にその会社の価値と連動する “株式のようなもの” に過ぎない場合もある。この違いは法的に大きな違いだ(だから詐欺に注意したい。新種の未公開株詐欺を思い浮かべてほしい)。

ただ、本当にやる気のある会社ならトークンに投票権(voting power)を付与するはずだ。経営やコミュにティに “口出しする” 権利だ。そもそもクラウドファンディングの趣旨というのはそのオープン性と民主性にある。一部の富裕層や権益者ではなく、一般人が投票権(または所有権)を通じて会社経営に参画する仕組みだ。

実際、仮想通貨界でも事業の成長に応じて将来、トークンを株式(所有権)に転換する特典を約束している企業も存在する。くどいようだが、だからこそ会社を選ぶ目がモノを言うのだ。


英語的に注意したいのは、”denote” の使い方だ。denoteは “connote” とセットで覚えるといい。”denote” は主語の意味を直接、明示的に示すのに対して、”connote” は間接的、暗示的に示す場合に使う。以下の例文を読んでもらえば、両者の違いがわかると思う。

Winter denotes a season of the year, but connotes cold weather.
The word train, which denotes transportation, also connotes old-fashioned travel.

したがって、上の引用文の場合、”a company sells shares that denote a share of ownership in that company.” とは、株式の購入は直接(明示的に)会社所有権の一部の取得を意味するわけだ。

ただし、”denote” も “connote” も人を主語にできないので注意。例えば、以下のような感じだ。

Only words and symbols can connote something; people imply (or suggest) it. You can say “Bitcoin denotes a cryptocurrency,” but can’t say “I denote a human being.” In the case of “mean”, however, you may say both “I mean it,” and “It means something wonderful is happening.”